特集3 URA(University Research Administrator)ステーション

研究者をサポートし、北大をおもしろくするURA。

URA(University Research Administrator)

文部科学省では、URAは「大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネージメント、研究成果活用促進を行う。
単に研究に係る行政手続きを行うものではない。大学の研究活動の活性化や研究開発マネージメントの強化等を支える」としています。
北海道大学ではURAを「研究支援職ではなく研究推進職」と位置づけており、「コーディネーターではなくプロデューサーであれ」と語る理事もいます。

 2015年4月1日、北海道大学に「URA職」が新設され、新生「URAステーション」がスタートしました。URAとはどんな存在で、北大にどんな効果をもたらすのか。統轄する川端和重理事・副学長にいくつか質問をしてみました。

Q.1URA職を新設したのはなぜ?

 国立大学が国立大学法人化して、自分で経営をすることになったものの、大学にいるのは研究・教育をする教員と運営をする事務職員。経営をする人がいない。今までいろいろな事業化や連携は運営組織の形で取り組んで、ミッションごとにマネージメントする人を採用していたんです。そこで「大学の経営をやれる人間をつくりましょう」となりました。

Q.2“北大は独自路線”だそうですね。

 全国的にURAは、研究者の時間を確保するために、研究がわかり研究支援できる人をつくるべきという話から誕生したんです。業務はプロジェクト獲得や研究申請書記載のお手伝い。でも北大の場合は、研究者と同じ目線で研究や活動をプロデュースするプロデューサーをつくろうと考えました。それで本学のURAは任期を設けない常勤職員で、給与体系は業績給。成果を出せば上のクラスに上がっていくシステムになっています。

Q.3「大学の経営」の説明を少し。

 大学として「北海道大学近未来戦略150」を掲げていますが、研究について言うと、基礎研究は徹底的に多様であるべきだと思っています。続く展開研究に関しては大学のランドマークをつくりたい。北大の中で強い領域は、①医療創薬、②食と健康、③物質材料、④フィールド科学。これら4つの重点領域を定めて、ランドマークをどんどん立てていこうとしています。

Q.4ランドマークの具体例を。

 医療創薬だと「人獣共通感染症リサーチセンター」と北海道大学病院の「陽子線治療センター」が今まであったランドマーク的なもの。新たに2014年からスタートしたのが、食と医療を連動させて健康社会を築こうという「フード&メディカルイノベーション拠点」の建物であり、ホームシステムであり、関連するセンター・オブ・イノベーションの事業。これらにはURAがからんでいて、医学系と農学系とのコーディネートをしています。

Q.5他領域のランドマークは?

 フィールド科学で展開しようとしているのが北極域研究。これまで日本では南極ばかりを研究して、北極域を研究する拠点はなかったのですが、北大には低温科学研究所があり、ロシアに行っている研究者もいるので、人や組織をつないで2015年4月に「北極域研究センター」を設立しました。国立極地研究所や海洋研究開発機構と連携して温暖化、雪氷、北極海航路、鉱物資源、漁業資源、さらには北極政策の研究を進めていきます。

Q.6北大らしい今後の展開は?

 日本の農業にサイエンスをつなげて新しいランドマークを創るのが次の目標。農業は種を作ったり、稲を育てたり、牛乳を生産したりだけではなく、冷凍、物流、消費があり、最近では6次産業、7次産業というバリューチェーンがある。さらには、北海道の中で町がどんどん消えている過疎化の問題を解決する産業になるかもしれない。それを地域との連動で実証していけば、全国に広げられるし、世界のモデルケースにもなると考えられます。

Q.7URAはどんな人たち?

 研究活動が基本的にわかっている方々です。それから事業展開に興味があり、それなりにビジョンをもつことができて、フットワークがすごくいい。URAステーションに地味な人、暗い人、遅い人はいないですね。体力面、精神面ともタフで、修羅場さえ楽しめる人が多い。URAは新陳代謝もしていきます。新しい人を採用するときは公募ですから、誰でも手をあげられますよ。

Q.8URAのアピールを。

 北大ではURAステーションに経営的な人材をしっかり整えて、大学の独自性を発揮させるような活動に向かっています。URAはほとんど私と同じ情報をもっていて、各部局担当のURAも設定しているので、研究者のみなさんにはもっと活用していただきたい。こちらでは、誰かがおもしろい活動をし始めたら、それを応援したいと思っています。

 約1時間のインタビューの間に、川端理事は「こんな話じゃおもしろくないよね?」「農業だけじゃおもしろくない」など、「おもしろく」という言葉を8回口にしました。「自分の研究や構想はけっこうおもしろいのではないか?」とお考えの研究者の方は、ぜひURAにコンタクトをとってみてください。